― バガヴァッド・ギーターと梅花心易が示す宇宙の法則
序章:戦場で語られた聖典
世界の宗教書の中でも、異様な場面から始まるものがある。
それが 『バガヴァッド・ギーター』 だ。
舞台は祈りの場でも寺院でもない。
戦場である。
クルクシェートラの大地。
王族同士の戦争が始まろうとしていた。
アルジュナ王子は弓を持ちながら震えていた。
敵の中には
- 祖父
- 師匠
- 親族
- 友人
がいる。
彼は言う。
「私は戦えない。」
「こんな勝利に意味はない。」
その時、彼の戦車の御者であった クリシュナ が語り始める。
だがその内容は意外だった。
彼はこう言う。
「戦え。」
しかもさらに言う。
「彼らはすでに私によって滅ぼされている。
お前はただの道具にすぎない。」
ここで多くの人が疑問を抱く。
もし神が存在するなら、
なぜ戦争を止めないのか?
梅花心易に問う
この問いを、古代中国の占術 梅花心易 で占ってみる。
問い
「神はなぜ戦争を止めないのか?」
得られた卦は次であった。
本卦:火水未済
動爻:三爻
之卦:火風鼎
この並びは非常に示唆的である。
未済 ― 世界は完成していない
未済は易経六十四卦の最後の卦である。
意味は
「未だ成らず」
世界は完成していない。
秩序は途中。
バランスはまだ不完全。
つまり、
宇宙は完成した楽園ではない。
進行中のプロセス。
未完成の構造。
戦争や混乱が存在するのは、
世界が壊れているからではない。
まだ完成していないからだ。
三爻 ― 危険な過程
未済三爻はこう言う。
「征けば凶。」
無理に完成させようとすると危険。
人間はよく
「神がすべて解決すべきだ」
と考える。
しかし易は警告する。
未完成の世界を
無理に完成させると
秩序は崩れる。
未済は
成長途中の宇宙
を示している。
鼎 ― 変容の器
之卦は 鼎(かなえ)。
鼎は祭祀の鍋。
火を使い、素材を変化させる器。
意味は
変容
ここで戦争の意味が見えてくる。
戦争は理想ではない。
だが歴史を見ると、
文明はしばしば
大きな衝突の後に変化してきた。
帝国の崩壊。
政治制度の変化。
社会秩序の再編。
鼎は
苦しい過程の中で
新しい秩序が生まれることを示す。
神は止められないのか?
ここで二つの神観がある。
① 全能の管理者としての神
この場合、
神は戦争を止められるはず。
② 宇宙法則としての神
この場合、
神はルールを作るが
すべてを操作はしない。
ギーターのクリシュナは
後者に近い。
彼は戦争を止めない。
だが
秩序が崩れた時に現れ、
ダルマを回復する。
人間の役割
ギーターは衝撃的なことを言う。
「神がすべてをする」
とは言わない。
むしろ逆だ。
人間が行為する。
神は
宇宙の法則。
人間は
その中の行為者。
アルジュナに対してクリシュナは言う。
「私は道を示した。
あとはお前が決めよ。」
戦争の本当の原因
神ではない。
人間だ。
恐れ。
欲望。
権力。
恐怖。
これらが衝突するとき
戦争が起きる。
未済の世界では、
人間の意識が秩序を左右する。
最終結論
梅花心易はこう語る。
未済は未完成。
鼎は変容。
神が戦争を止めない理由は、
宇宙がまだ完成していないから。
神は世界を
操り人形の劇場にはしていない。
自由がある。
だから悲劇もある。
だが同時に、
変化も生まれる。
結語
神は戦争を止めない。
だが
それは
神が無力だからではない。
人間が
未完成の世界を
どう完成させるか
を試されているからだ。

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